まとめ回 論点

 

【論点】

Chapter1~Chapter6を通して班で特に気になったこと…

”西洋”と”土着”という相容れない理念的な概念が登場してきた。

これまでの論点で”西洋”と”土着”について対立・融合などの関係性が

話題になっていたが、深いレベルまで話し合うことができなかった。

⇒”西洋”と”土着”の関係性について今一度話し合いたい!

班が抱いた疑問

比較教育学の研究をする際に、

比較教育学者の間で”西洋”の教育の限界が言われており、

その際に土着に着目しようという動きがある。

⇒そこで班は次のような疑問を持った。

①西洋の教育は本当に限界を迎えているのか?

→本当に限界を迎えているとしたら、具体的にはどういった限界なのか?

②西洋が土着から学ぶことは可能なのか?

→(例)Chapter4 P79

”Western and indigenous models of education are each framed by worldviews that

inform their epistemologies and pedagogies.”

西洋と土着の教育モデルが各自の世界観によって構成される。各自の世界観がまた

それぞれの認識論と教授法を形成する。

⇒このように西洋と土着の教育は、異なる背景から成り立ってきた。

※ここでいう”土着”とは、理念的に西洋と対するものとして誕生したものを指す。

【論点】

①と②を踏まえたうえで、土着に着目することで西洋は何かしらの示唆を得ることは

できるだろうか。できるとしたら、それはどのような示唆なのか。

 

 

 

「学識」研究の論点と文献(中村)

『大学の自治』田中耕太郎、末川博、我妻栄、大内兵衛、宮沢俊義 朝日新聞社1963
大学の自治という観点から、大学教員の在り方を考えることもできるとおもい、挙げてみました。本書は座談会形式で、過去の事件(戦前の七博士事件以降)を振り返っているため、厳密性に問題があるかもしれませんが、各事件の同時代人がどう受けとめていたかを知ることができるという点では、利点もあるかとおもいます。全員で読み進めるのに耐え得ないかもしれませんが、「大学の自治」という問題を概観するには資するところがないとは言えないかとおもいました。また、下記の本は、本書で取り上げられた事件について詳しく述べられています。
伊ヶ崎暁生『大学自治の歴史』新日本新書 1965

「学識」研究の論点(やまだ)

天野郁夫著『日本的大学像を求めて』(1991)

「日本的」というところが気になりました。問題設定の妥当性についてはわかりませんが、内容がとてもわかりやすく整理されているので論点を探るには適しているかと思われます。

第一章 変わりゆく大学
マス化の衝撃/大学と国家/企業と大学/社会と大学/大学と学校/組織と管理/教育と研究/分化と序列化/アメリカのモデル性/競争と多様性

第二章 アメリカと日本
比較と歴史と/私学とアメリカ/官学とドイツ/アメリカ・モデル/カレッジとユニバーシティ/三位一体型/州立大学/アメリカ的性格/戦後改革のモデル/正しい認識を

「学識」研究の論点と文献(間篠)

1.モード論について
今日の議論の前までは、現代的な問題をもう一度見てみるのも良いのかなと思っていました。その意味で、今まで読んだ文献の中でも何度か引かれていましたが、マイケル・ギボンズ『現代社会と知の創造――モード論とは何か』(丸善、1997年)をとりあげます。どちらかというと論点をあげて、というよりは勉強という意味が強いのですが。読むとしたら序章と第一章で概要をつかむのが良いかと思います。余裕があれば第三章・第七章も。以下、同書の構成です。
・序章
・第一章 知識生産の進化
・第二章 知識の市場性と商業化
・第三章 研究のマス化と教育のマス化
・第四章 人文科学の場合
・第五章 競争、コラボレーション、グローバル化
・第六章 制度を再配置する
・第七章 社会的に分散した知識のマネジメントに向けて

2.ドイツにおけるWissenschaft(学問/科学)に関連させて
今日の議論で出てきたWissenschaftをもう少し掘り下げるための文献として、F.K.リンガー著、西村稔訳『読書人の没落』(名古屋大学出版会、1991年)をあげてみます。(パレチェクの主張に基づいて)「フンボルト理念」が1910年に再発見されたのだとすると、“Bildung durch Wissenschaft”と言ったときのWissenschaftがどのようなものとして理解されたのか、気になります。特に、価値の問題をどう扱われたのかが大きな問題になるのではないかと思います。そこで、20世紀への世紀転換期におけるドイツの思想状況を確認するということで、同書を取りあげました。何章かに絞って読むとすると、第一章ないし第六章が良いかなと思います。以下、同書の構成です。
・序説 読書人の類型
・第一章 読書人の社会史
・第二章 懐旧の読書人階層
・第三章 政治論と社会理論 一八九〇年―一九一八年
・第四章 政治的対立の絶頂 一九一八年―一九三三年
・第五章 文化的危機の起源 一八九〇年―一九二〇年
・第六章 学問の復活から危機へ 一八九一年―一九二〇年
・第七章 学問の危機の頂点 一九二〇年―一九三三年
・結章 伝統の終焉

以上

「学識」に関する比較調査 図書リスト(富塚)

大学における「知識」とはなにか、という観点から図書を挙げてみようと思います。

当初、「知識」の機能や性質についてみてみたら面白いかな、と思ったのですが、観点が絞れなかったので、ひとまず「知識とはなにか」という包括的なくくりにしました。

・ヤーロスラフ・ペリカン著・田口孝夫訳『大学とは何か』、法政大学出版局、1996年.

第二部に知識に関する章が複数あります。

第7章「大学の任務」、第8章「研究による知識の進歩」、第9章「教育による知識の拡大」、第10章「知識と職業的技能との関連」、(第11章「死者の才能の防腐保存」)、第12章「出版による知識の普及」。

 

・スティーヴ・フラー著、永田晃也、遠藤温、篠崎香織、綾部広則訳『ナレッジマネジメントの思想 知識生産と社会的認識論』、新曜社、2009年.

著者の主要な関心は大学。「マネジメントの考え方が知識に対して何の役に立つのかと問う(7頁)」とのことですが、「知識」について多く頁が割かれており、大学における「知識」を考えるうえで役立つのでは…と考えました。

前篇を通して触れていますが、とくに第二章「知識を問題にする–哲学、経済学、法律」が参考になるのではないかと思います。

 

以上です。よろしくお願い致します。

富塚