Ring out the old year, ring in the new!

 2018年も、あと1週間。

 ここのところ、年末年始は、海外で過ごすことが多く、今年もアメリカ西海岸にいるので、少し気が早いですが、新年のご挨拶を申し上げます。
(数年前から、基本的には、お年賀状(はがき)でのご挨拶を失礼しています。)

 今年も、みなさまには、たいへんお世話になりました。

 学会でのいくつかの役職は一段落したものの、校務については相変わらずの状況です。学部執行部や学生部文学部担当など、よきスタッフ(チーム)に支えられて何とかかんとか、ここまでやってきています。とりわけ秘書さん(たち)が、とても有能で、私でもどうにかこうにか務まっているのも、彼女(たち)のおかげです。毎日心から感謝しています。日常業務のほかにも、この1年は、神経をすり減らす事案も発生し、また他の学部も含めた全学的な課題にもとりくまざるを得なくなっています。残された任期はあと9ヵ月ですが、できるところまでなんとかやり遂げたいと考えています。関係者の方々には、来年も引き続き、どうぞよろしくお願い致します。

 昨夏は、久しぶりにシカゴ大学にじっくりと滞在することができました。RegensteinのSpecial Collections Research Centerにこもって、Archivesで至福のときを過ごしました。さまざまな新しい発見もあり、細切れではありますが、少しずつ時間をつくって、ゆっくりとまとめの作業をしています。特に、これまでとりくんできたliberal learningの研究にtechnologyの観点を組み込む着想も得ることができてきているので、来年10月以降に加速させたいと考えています。

 ところで先の記事にも書きましたが、今年は「節目」の年(歳?)でした。9月の誕生日前後から、いろいろな方がいろいろな形で、断続的に(笑)お祝いをしてくださいました。あらためて、ありがとうございました。

 そしておそらくその最終版が、12月15日のゼミOGOB会でした。

 もはや恒例行事化していますが、今年は、例年よりも少し遅く、寒い時期の開催でした。それでも、昼の部、夜の部あわせて延べで100名近くが、全国から集まってくれました。そしてこれもまた恒例化していることですが、元気のいいKidsたち(松ゼミchildren?)が今年もたくさん集ってくれました。卒業生の活躍もですが、年1回ゼミ生の子どもたちの成長を見ることも楽しみの一つになっています。神戸から子連れで参加してくれたママ、ご家族の事情で参加がかなわなくなって、わざわざ自筆のお手紙を大学まで届けてくださった女優さん!など、卒業生がそれぞれの場で懸命に活躍していることを知って、たくさんの元気をもらいました。また、当日も「節目」についてのお祝いのことばやプレゼントもたくさんいただきました。感謝です。

 来年18 期生を迎える学部ゼミ。このゼミのことを私は「チーム」と捉えています。そのことは入ゼミの説明会でも言及されていて、その考え方に惹かれてゼミを志望してくれる学生が今年もいました。現役のゼミが「チーム」だとすれば、卒業生は「ファミリー」なのかな、と思います。また来年もFamily Reunionで再会できるように、健康で充実した1年となるように、がんばろうと思います。2019年もどうぞよろしくお願いします。

節目

 

9月ももう下旬。

8月下旬〜10月中旬にかけては、毎週末、各種学会が続く。特に今年は、いろいろな事情から、ほぼすべてに参加しなければならないことになっていて、それはそれで勉強にはなるのだけれど、体力と気力の点では少々キツい。多くの大学教員がすでに嘆いていることだけれど、夏は来ても、実質的に「夏休み」はほぼないに等しい。校務も待ったなし。

ところで9月はいわゆるお誕生月。しかも「節目」。そんな歳になってしまったのか、とあまり自覚はないのだけれど、まあ客観的に見れば、それなりに老いているのだと思う。年寄りの特権は、生きてきた分だけ、人のつながりが増えることかもしれない。今月は、それぞれ、家族、大学院学生・卒業生、職場(学部運営)、そして昨夜は、雨の東京湾上で学部学生たちが、お祝いの機会を設けてくれた。素直に感謝したい。

みなさん、ありがとう。

迎春2017

遅ればせながら、新年のご挨拶を申し上げます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

昨年末は、少し早めの休暇をいただいて、新年にかけて2週間ほどアメリカに滞在していました。政権移行期のアメリカを覗いてみたいことと、寒さを覚悟しつつ久しぶりにボストンを訪ねてみたい、との思いからでした。二人の大統領にかかわる博物館や図書館、国立公文書館、議会図書館、ハーヴァード大学、ボストン公共図書館など、ホリデー・シーズンにしては、比較的効率よくまわることができました。またボストン市内もぐるぐる歩き回りました。よい気分転換になりました。

帰国後は、すぐに校務もはじまり、出版企画の編集会議、二つの学会の機関誌編集委員会、そして別の学会が刊行する事典の改訂増補の大詰めの作業と、慌ただしい毎日がはじまりました。彼の地の想い出も、遠い昔のことのようです。ただ、1〜2月の仕事を乗り越えれば、校務ではありますが、3月にニューヨークに出張することも予定しています。変革期のアメリカを、少し時間をおいたところで、またたずねてみるのを楽しみにしています。

昨年は、慶應でのゼミのOGOBと現役生が、15周年のお祝いをしてくれました。そのほか、約30年ぶりに前任校に着任した当時(まだぎりぎり20歳代でした)に出会った学生たち(自主ゼミをやっていました)との再会の機会もありました。

現在は、なかなか学生たちと落ち着いてつきあえる環境には、残念ながらありませんが、今秋にいくつかの大きな仕事の任期満了を迎えますので、少しは時間的な余裕が出るかもしれません。年賀状にも記しましたが、あと半年ほどなんとか踏ん張ってみます。

今年も、変わらぬご支援とご指導、ご交誼のほど、よろしくお願い致します。

 

 

15周年

img_7039-2先週土曜日10月29日は、恒例となったゼミのOGOB会でした。今年は15周年記念ということで、OGOBも加わって企画・準備にとりくんでくれました。今年の2月、『文学部案内』の座談会の収録のために、高木俊輔君(3期)、米川麻子君(6期)、永塚達大君(8期)、村木志穂君(12期)に三田に集まってもらいましたが、それが15周年企画のきっかけになり、彼らがOGOBの幹事として在学生と協力して進めてくれることになりました。

当日は、例年通り、昼の部は三田キャンパスの南館・カフェテリアで、夜の部はつるの屋さんで、それぞれ再会の時を楽しみました。今年は昼の部だけでなく、夜の部にも、家族で参加してくれる方々もいらっしゃいました。子どもたちだけでなく、それぞれの配偶者の方々にも集っていただいて、とても賑やかでした。両方あわせて、延べ人数では100名を超える参加者でした。img_7047-1

挨拶の時にも話しましたが、前任校に14年間務めて、2002年に慶應に赴任して、今年で15年目。学部ゼミの在学者・卒業生は、あわせて190名近くになっているようです。大学院ゼミの在学者・修了者・単位取得退学者も30名を超えました。私にとっても、ひとつの節目の年ということになります。教育活動はもちろんのこと、研究や校務、学会の仕事になんとかとりくめているのも、こうした学生・元学生たちの存在が励みになっていることをあらためて実感しました。

実行委員長で安定の司会者でもある高木君、義塾愛・松ゼミ愛を貫く永塚君の暗躍(笑)によって、サプライズ・ゲストも登場して(ほんとうに驚きました)、とimg_7063-1ても楽しくうれしい催しでした。また、プロのインタビュアーの仕事も生で見せていただきました(小島君ありがとう)。そして「記念品」もありがとう。圧巻は「アルバム」と「寄せ書き」(感謝状)。寄せ書き(130人分!)は、当日はサンフランシスコ勤務で出席できなかった米川君のご尽力によるものと、聞きました。ありがとう。あらためて卒業生幹事のみなさん、そして実行委員長を支えてくださってであろう、あゆみ夫人にも心から感謝申し上げます。また現役生幹事の宴会部、田崎千尋君、渕井亮太君、横井裕子君、またそれ以外にも当日など運営に協力してくれた現役生にもお礼を申し上げます。

OGOBのみんなは、リフレッシュできたでしょうか。あまり話せなかった人もいますが、次の再会の機会を楽しみにしています。松浦ゼミの16年目の深化・進化を暖かくかつ厳しく見守っていてください。みんな元気で!

(当日の写真は、Facebookでリスト「松浦ゼミ」限定で公開しています。このあと、「アルバム」と「寄せ書き」は、スキャンして、Facebookおよびこのサイトの「メディア」に掲載する予定です。ストレージの個別のリンクを知りたい方は、松浦までメールをください。)

迎春 2016

関東では、晴天の元旦を迎えました。北風が少し冷たいですが、、、。
皆様は、いかがお過ごしでしょうか。
年賀2016a昨年のお正月は、喪中にあたりましたので、新年のご挨拶は控えさせていただきました。もっとも今年も、前々から予告しておりましたように、個人としてのお年賀状(郵便)はお送りせずに、WebやMailでご挨拶を申しあげることにさせていただきます。失礼をお許しいただければ、と存じます。

振り返ると2015年は、私自身も、また家族にとってもさまざまな変化のあった1年でした。
春には2度、アメリカに行く機会がありました。3月は、ずっと気になっていたネイティヴ・アメリカンの足跡をたずねて、南西部へ。4月には、懐かしのシカゴ。アメリカ教育学会(AERA)の大会と世界教育学会の理事会(WERA)に参加してきました。もちろんハイド・パークにも。4月でも、というかやはり予想通り、小雪混じりの天候にも遭遇しました。シカゴでは同道した家族がアクシデントにも見舞われ、住み慣れた場所だからこそ、油断せずに、安全に気をつけなければならないことを学びました。それでも家族それぞれに、第二の故郷シカゴの街の再訪を楽しみました。

2015年の前半は、学部の仕事としては、創設125年の諸行事、特に6月に開催された記念講演会・シンポジウムが大きかったです。一連の記念行事を通して、あらためて文学部の学術の幅広さと奥深さ、そして底力を実感することができました。
そして後半、、、。7月1日の「選挙」で、まったく予定が狂ってしまいました。その後の半年間は、常に緊張しながら過ごしてきたように思います。就任後3ヵ月経ちましたが、幸い、日吉主任、学部長補佐、学部長秘書、三田・日吉の両学習指導主任、関連する二つの大学院の研究科委員長、そして「地元」の教育学専攻をはじめとする多くの方々のあたたかいサポートを得て、私でもなんとかかんとか重責を担うことができているように思われます。ほんとうにありがとうございます。そして今後ともよろしくお願い致します。
ご存知のように、日本の人文学・社会科学の学術にかかわる環境には厳しいものがあります。これからも高大接続改革や教員養成制度改革など、喫緊に対応しなければならない課題も厳しく迫ってきています。いまこそ慶應義塾の文学部がやらなければならないこと、できることがあるように思えます。引き続き周囲の協力を得ながら、立ち向かってゆきたいと思います。
そして校務の多忙さのしわ寄せは、どうしても担当する大学院生や学部学生に及んでしまいます。院生の進路や学部ゼミの運営など、悩むことも多く、2016年の課題のひとつです。ただ、毎年OGOB会には多くの卒業生が駆けつけてくれるなど、励まされることも少なくなく、できる限りの力は注ぎたいと思っています。(ただ、なんとか、自立してほしい、とは思うけど、、、。)

学会関係では、9月にようやく教育思想史学会会長として、3年間の任期を終えることができました。「歴史」(と「比較」)へのこだわり、アクチュアリティの追求、学会間連携など、いくつかテーマを掲げましたが、こちらも事務局スタッフや理事会、会員のみなさんの協力を得て、ある程度のことは達成できたのではないか、と思っています。ただし積み残した仕事も。『教育思想事典』増補の編集については持ち越しです。こちらも多くの執筆者の協力を得ながら、2016年半ばには、ようやく形にできる見通しです。
このほか昨年後半からは、教育哲学会の機関誌編集委員長、そして(こちらはまったくの想定外だったのですが)日本教育学会の機関誌編集委員長としても責任を担うことになりました。日本教育学会は、国際交流にもかかわってきているので、世界教育学会(日本開催)のことなども課題となっています。いずれにせよ、学部長職とともに、なんとか2年間の任期の責を果たしたいと思います。

家族に関しては、みな健康で過ごせたことに感謝しています。愚息は、就職も希望通りに決まり、おそらく今年の4月からは家を離れることになります(とは言っても、すでにあんまり家に帰ってきませんが)。4年間とりくんだ「●●実」も、最後の年にはそれなりの責任を果たせたようにきいています。妻の仕事も順調なようで、2016年はひょっとしたらステップ・アップもあるかもしれません。いつも彼女のフットワークの軽さには脱帽しますが、強盗に襲われない程度に、楽しく世界の各地を闊歩してほしいと思っています。

年賀はがきには書ききれない近況報告となりました。
こんな私(たち)ですが、友人、職場などの関係者のみなさんに支えられながら、新たな気持ちで新年に向かってゆきたいと思います。
どうぞ、今年もよろしくお願い致します。
そして、皆様の新年もすばらしい一年となりますように。

2016年元旦

最後の授業

本日、最終講義いや最終授業でした。ICUの話です。途中、在外研究時には中断しましたが、かれこれ25年、ずっと非常勤で授業を担当していました。ここ数年、毎年、「今年でやめる」と言い続け、それでも慰留に屈してまた三鷹にやってくる、という「オオカミおじさん」の繰り返しでしたが、今年こそ、本当に最後となりました。秋学期は学部の「研究」でしたが、履修者の倍のリピーターの院生や学部生が参集してくれて、みんなでデューイを読みました。

パッケージ化されていまや陳腐な概念になってしまったCritical Thinkingや「思考力」などのことばが流行る前から、この大学の学生は、一つの概念にこだわり、仲間と議論しながら、深く深く考える、という学問の基本を実践する人たちでした。今年もおもしろかったです。慶應では、学部ゼミも大学院ゼミも、いまは人数が多いので、ICUでのディスカッションは私にとっても、とても刺激的でした。やっぱり、ゼミの適正規模ってあるよね。

「また来てください」とのことばとともにいただいた花束。たぶんもうICUに戻ることはないと思いますが(ゴメン!)、ここ数年の履修者を含めて、ICUの25年間で出会った学生は、私の研究教育の財産です。ありがとう。

今日は補講で遅くなりましたので、「打ち上げ」は来週、新宿で。とても楽しみにしています。
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慶應義塾大学文学部125年/記念講演会・シンポジウム(2015.06.20)

1890年慶應義塾に大学部が開設され、理財科・法律科とともに「文学科」が創設されてから、今年で125年となります。慶應義塾大学文学部では、これを記念してさまざまな記念行事を展開しています。>>慶應義塾大学文学部創設125年記念サイト

そのなかでもメイン・イベントに位置づけられる行事が、6月20日に開催されます。

慶應義塾の文学部のこれまでといま、そしてこれからを考えるのみならず、日本や世界の人文学や社会科学研究のあり方を問うことを企図しています。福澤諭吉が「すゝめ」た「実学(サイヤンス=サイエンス)」とは、単に日常生活や社会の役に立つ学問ということにとどまらず、事象の真実に迫ろうとする知的探究・科学的追究の姿勢を示すものだと考えられます。すなわちそれは、直接的な社会的有用性への対応をめざすのではなく、人文学、社会科学、自然科学を包含した「リベラル・スタディーズ」によって事物の本質に迫ろうと試み、それによって社会や世界のこれまでといまを考え、これからをつくりあげようとする学問的態度を意味しています。

記念講演・シンポジウムは、こうした観点から、「文」学部について考えます。テーマに関心をおもちの方は、どなたでもご自由にご参加いただけます。

(追記:この間、あらためて文学部の125年の歴史を振り返るなかで、慶應ではかなり早い時期から「教育学」が文学部(文学科)のなかで重要な位置を占めていたことがわかりました。日本の教育学史のなかできちんと位置づける必要を痛感しています。)

20150620

『現代教育の争点・論点』刊行

timthumb報告(宣伝)が遅くなりましたが、4月に刊行されました。

 

 

 

 

 

 

 

【出版社:一藝社、サイトより

概要

 現代、特に論議の対象となりやすい教育問題。メディア社会におけるコミュニケーション、ゼロトレランス、読書力養成、大学の社会的役割など、教育にまつわる現代的な課題をひとつひとつ紐解きながら、現代社会における教育の役割とその課題について考える。

目次

[第Ⅰ部]公教育を問い直す──学校のあり方をめぐる争点・論点
第1章 誰のための・何のための公教育か
第2章 教育格差と能力主義
第3章 公教育における特別支援教育に関する論点と課題
第4章 「幼保一元化」が目指すもの
第5章 教育における評価の逆説性
第6章 学校に「参加」する主体は誰か─学校における「第三者」と「ステイクホルダー」
[第Ⅱ部]今求められる学力・能力とは──学力問題をめぐる争点・論点
第7章 学習指導要領の過去・現在・未来
第8章 学力調査の結果をどのように利用すべきか
第9章 「読書力」を育成する
第10章 メディア社会におけるコミュニケーション能力
第11章 ゼロトレランスによる「安全で規律ある学習環境」の確立
[第Ⅲ部]大学の社会的役割を考える──教師教育・大学改革・生涯学習をめぐる争点・論点
第12章 学校教員に必要な資質能力をいかに養成するか
第13章 現職教員の資質能力をいかに向上させるか
第14章 「教育」からみた大学の隘路
第15章 大学像をどのように描き直すのか─多様化と標準化の相克のなかでの大学改革の争点と論点
第16章 大学が果たすべき社会貢献とは何か
第17章 誰のための生涯学習か

書籍情報

  • ISBN-13: 978-4-86359-091-5
  • 発売日: 2015年4月1日
  • サイズ: A5判/並製
  • ページ数: 208頁

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