「学識」研究の論点と文献(中村)

『大学の自治』田中耕太郎、末川博、我妻栄、大内兵衛、宮沢俊義 朝日新聞社1963
大学の自治という観点から、大学教員の在り方を考えることもできるとおもい、挙げてみました。本書は座談会形式で、過去の事件(戦前の七博士事件以降)を振り返っているため、厳密性に問題があるかもしれませんが、各事件の同時代人がどう受けとめていたかを知ることができるという点では、利点もあるかとおもいます。全員で読み進めるのに耐え得ないかもしれませんが、「大学の自治」という問題を概観するには資するところがないとは言えないかとおもいました。また、下記の本は、本書で取り上げられた事件について詳しく述べられています。
伊ヶ崎暁生『大学自治の歴史』新日本新書 1965

「学識」に関する比較研究 文献調査 (中村)

遅くなってしまい、申し訳ありません。

・竹内洋『大学という病ー東大紛擾と教授群像』中央公論新社、2001

大学教授職の問題として、平賀粛学に代表される、戦前戦中期の東大経済学部における人事問題、派閥抗争は、触れられても良いかとおもいました。あくまで、東大経済学部という限られた空間、戦前、戦中という例外的な状況下ではありますが、日本における大学教授職にかんする事件も参考になるかとおもいます。

・黒羽亮一(Kuroha Ryouichi)『新版 戦後大学教育政策の展開』玉川大学出版、2001

 「大学における知」を考えるさいに、大学における「一般教育」と「専門教育」の問題、とくに「一般教育のあり方」について知ることが有益かとおもい、挙げました。第2章「一般教育の扱い方の変遷」で、戦後から現在までの「一般教育」について、中教審や臨教審、大学審議会答申等をもとに、その理念や実践のされ方が描かれています。