「学識」研究の論点(やまだ)

天野郁夫著『日本的大学像を求めて』(1991)

「日本的」というところが気になりました。問題設定の妥当性についてはわかりませんが、内容がとてもわかりやすく整理されているので論点を探るには適しているかと思われます。

第一章 変わりゆく大学
マス化の衝撃/大学と国家/企業と大学/社会と大学/大学と学校/組織と管理/教育と研究/分化と序列化/アメリカのモデル性/競争と多様性

第二章 アメリカと日本
比較と歴史と/私学とアメリカ/官学とドイツ/アメリカ・モデル/カレッジとユニバーシティ/三位一体型/州立大学/アメリカ的性格/戦後改革のモデル/正しい認識を

「学識」に関する比較研究 文献調査(山田)

本議題についての知識が浅く自身の研究関心にかなり拠ってしまいますが、高坂正顕著『大学の理念』(創文社1961)を提案させていただきます。高坂の思想については研究が進んでいないこともあり本共同研究で検討する価値が果たしてあるのかということは判断しかねますが、当時高坂は学芸大学学長を務めており十分に「大学人」と呼べる人物かと思います。本書においてはエリート段階からマス段階へと移行しつつある時代の流れを敏感に察知した上で、ドイツ的な教養・学問観とアメリカ的な大学の在り方の間に揺れながら、大学のあるべき姿を模索しています。
ゼミの形式がまだよく理解できていません。全員で読むというより、それぞれの関心を発表するという形式になった場合にぜひ本書について発表させていただきたいと思います。同時代の思想家や同様の問題を抱える海外の思想家等における学問観と比較できればおもしろいかと思います。