【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究16 1102議事録(Zhai )

<1>     ・大学の多様性と一貫性:大学は一貫性と多様性の特徴を持っている。

<2>     ボイヤーの学識概念:多様性と一貫性でボイヤーの学識概念がどのように解釈できるか。

(ZHAI 理解)

一貫性:学識概念が出された前提は大学と社会の接合。その中にも、高校との接続が含まれている。この意味で、学識概念の前提は一貫性を実現するためのものである。

多様性:学識自体が多様であるか、それとも学識が対象によって多様であるかによって、多様性の解釈が違う。

<皆様の意見>

ボイヤーが学識の「~~」の「~~」を中核として重視しているか、それとも「学識」を重視しているか?

11月16日:MASHINO 発表 「知識」について。

(SEとSoTLに関する文献リストについての話し合い。)

SE文献リスト:TA とZHAI

SoTL文献リスト:MASHINOと原

<これからの方向>

SEとSoTLを中心に進む。各主題について2回ずつ発表する。1月中に文章化できるようにする。

<ZHAI考え>

SEとSoTLがなぜ作られ、ボイヤーの四つの学識をどのように批判するかを整理することで、いままで学識論争の中に、SEとSoTLがどのような位置づけを課題として取り組む。

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究15 10/12議事録(間篠)

<Boyerの評価について>
・学者個人の使命と大学の使命とを関連させたことにBoyerの特徴があるのではないか
・Donald Schönの主張はBoyerの批判にはならないのではないか
・Before Boyerたちが行ってきたことを整理して、Boyerは自分の主張を展開している
・知識の扱い方という観点でscholarshipを再整理したのがBoyerの特徴ではないか
・1995年の講演(The Scholarship of Engagement)では、市民の視点や社会との関りという視点からscholarshipをとらえ直しているのではないか
・現状を分析し、そこから主張を組み立てているというBoyerの議論のしかたに注意して読んでいく必要がある

<scholarがscholarであることを保証するものとは何か、scholarとは何か>
・職員やadministratorとの違いを考えることでscholarの輪郭を浮き彫りにできないか
・伝統的なキャリアパスを通っていない大学教授職をどのように位置づけるか
・大学教授ではあるが学者ではないという状態はありうるか

<scholarshipについて>
・scholarship of engagementは、scholarship of applicationの発展形としてとらえてよいか(4つのscholarshipを包含したものとして考えられるのではないか)
・Scholarship Reconsideredでは、ティーチングだけが存立基盤が弱い。だからこそ、1995年でscholarship of sharing knowledgeとなっているのではないか。

<間篠の宿題>
・scholarship of discoveryとは何か

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究14 10/5議事録(間篠)

議事録
●Boyerの評価に関する意見
・Boyer自身は何も新しいことを論じていない。
・Boyerは1980年代までにあらわれていたScholarshipの捉え方の変化をまとめあげた。
・時代背景がBoyerのScholarship理解を欲していたため、Boyerの議論は受け入れられた。
・Boyerが4つのScholarshipを体系的に論じておらず、検討し直す余地が残されていたため、Post-Boyerの議論が盛んになった。
・それでも、Scholarshipが時代によって変化する可能性があることを示したのは意味があった。
・大学教員の仕事の拡大を正当化するためにBoyerの議論が出てきたという考え方もできる。

●次に取り組むこと
・時代背景に照らし合わせてBoyer(1990)を検討し直す。
・当時のBoyerの関心、カーネギーの関心について検討する。
※その際、上記のBoyer評価を念頭に置く。

●次回以降の予定
・10/12 先行研究におけるBoyer評価のまとめ:間篠
・10/19 当時のBoyerの関心について(講演記録、論文等から):Zhai
・10/26 1980年代高等教育をめぐる時代背景について:塔
・11/ 2 当時のカーネギーの関心について:原
・上記4回の発表の間に、11/9以降読む文献を設定する。

 

以上

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究13 9/1議事録(原)

1.議論内容

  • Boyerの4 Scholarshipのうち,Scholarship of Teaching (SoT)がScholarship of Teaching and Learning (SoTL),Scholarship of Application (SoA)がScholarship of Engagement (SoE)としてその後議論が進んでいる
  • Boshier (2009)及びSandmann (2008)はこの2つのScholarshipの議論のReviewとして共有する価値がある
  • SoEについては,Boyer (1996)がおそらく初出であり,これについて確認が必要。Boyer自身がSoEを提唱していたことに着目
  • SoTLの初出が不明確のため要確認
  • Boyerの言うScholarshipを「学識」と訳すのは妥当か?
  • Boyerの言う4 Scholarshipは4つの別個の要素と捉えるべきか,1つのScholarshipの4つの側面と捉えるべきか。

2.今後の調査内容

  • SoTからSoTLへと変化していった際の議論の確認
  • SoAからSoEへと変化していった際の議論の確認
  • Boyerの言う4 Scholarshipは4つの別個の要素と捉えるべきか,1つのScholarshipの4つの側面と捉えるべきか。Boyer自身がどう考えていたか,およびPost-Boyerの論者がどう捉えていたかを確認。またこの4つをどのような関係性で捉えていたかも確認。
  • 一般に言われている大学の3つの役割(Research, Teaching, Outreach)と4 Scholarshipはどのような関係にあるのか
  • (Scholarchipの語源とBoyer及びPost-Boyerの用法)

3.課題文献(秋学期初回授業時まで)

4.次回の予定

  • 秋学期初回授業では,予定通りBoyerを読み,各自の観点から批判・検討を行う
  • 2限後山食にて,上記課題の検討を行う

誤記・補足等あればコメントにてお知らせください。

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究12 トウナ担当文献

Conceptualization of the Scholarship of Engagement in Higher Education:
A Strategic Review, 1996–2006

Lorilee R. Sandmann

Journal of Higher Education Outreach and Engagement, Volume 12, Number 1, p.91(2008)

【要約】
1996年―2006年の10年間に、一般的な「Scholarship of engagement」の概念が、発展してきた。多くの分野で高等教育がコミュ二ティに対してより敏感になろうという声が高まったのである。この文章では、「Scholarship of engagement」という用語の発展が述べられた。また、「Scholarship of engagement」が使われる際には、「definitional anarchy」という問題が現われるということが明らかになった。これはその十年間に概念の進化の過程であると結論づけられた。さらに、実証的な研究や政策分析は叙述的な研究より重要であると論じられた。最後に、今後必要となるのは「engaged scholarship」の理論の発展であると提案された。

【追加文献】

Advising Graduate Students Doing Community-Engaged Dissertation Research: The Advisor-Advisee Relationship

Audrey J. Jaeger, Lorilee R. Sandmann, and Jihyun Kim

Journal of Higher Education Outreach and Engagement, Volume 15, Number 4, p. 5, (2011)

http://www.eric.ed.gov.kras7.lib.keio.ac.jp:2048/PDFS/EJ957105.pdf

 

 

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究11  Zhai 担当

Bowden, Randall G. 2007. “Scholarship Reconsidered: Reconsidered.” Journal of the Scholarship of Teaching and Learning, 7(2): 1-21.

『学識再考』に関する再考(Scholarship Reconsidered: Reconsidered

Randall G. Bowden

要約:Gaoyan Zhai

1990年にボイヤーはファキュリティの役割を四つの学識に分類した。この四つの学識(scholarship)は発見(discovery)、統合(integration)、応用(application)、教育(teaching)である。本論はこの教育の構成を七つの研究アプローチを基に調べた。これらのアプローチは、意図(purpose)、背景、前提(premise),概観、分析と結論、含意(implications)、提案(recommendation)である。意図は教授の学識(scholarship of teaching)の背景を形成した。この背景は、学者たちが優位なこととして、教授から研究基盤としての「教授の学識」を分離すべきこと、を簡単に概略した。前提は、「教授の学識」を「教授の行為」として正確に問題解決するとみなす事である。概観部分で、現在主要な「教授の学識」に関するモデルと発展が検討された。分析は学識の概観における有益な結果として認められている。学識の概観と同じように、分析によって深い意味合いが生じた。この論文は、ボイヤーの教育、研究とサービスから四つの学識理解に新しい解釈を加えた。結論の提案で教育の行為における卓越性のモデル構築に必要な次の課題をさらに提唱した。

 

l  背景

1.より専門的・上位的な方向:Carnegie Academy for the Scholarship of Teaching and Learning(CASTL) の設立

1) PEW National Fellowship Program for Carnegie Scholars

2) Lilly Foundation(ファキュリティ・ラーニング・コミュニティ

 

2.訓練(disciplines)と習慣から教授の学識の向上を図る。学者的な教授(scholarly teaching)理解から「教授の学識」を分離する。

 

l  前提

現在、教授の優位性を推進する傾向があるが、「教授の学識」は研究機能として見られている。ボイヤーは「教授の学識」が研究と同じ地位で平等的に評価されるべきであると強調したが、大部分の学者は「教授の学識」を実践の対面的な研究だと誤認している。

 

l  概観

「教授の学識」がカナダ、英国、オーストラリアとアメリカ合衆国の世界範囲に広まった。Shulmanは1999年に、「教授の学識」の研究アプローチの傾向を整理した。彼は3つの領域での分界線が必要だと述べた。1.批判的・評価的な教授過程。2.利用できるコミュニティの基盤、3.前述したものを利用し、人々が独自に研究する事が出来、且ついくつかの教授モデルもある。

1.    教授の学識モデル(Scholarship of Teaching Model, SofT)

これは、ファキュリティが内容(問題の叙述)・過程(問題解決の方法)・前提(問題の基礎)の反映から、知識を取得し、変形学習(transformative learning)理論により、理論的に構築されたものである。

2.Trigwell,  Mratin,  Benjiamin, とProsserモデル

3.訓練モデル(Disciplines Model)の分析

4.教授の学識調査(Scholarship of Teaching Inventory)

5.教授><学習連合TMモデル

6.再考

 

l  分析と結論

ボイヤーの著作を対象に、以下の二つの方法で分析した。

語彙統計(Lexical Statistics):単語分析による統計

修辞学分析(Rhetorical Analysis)

修辞学分析における問題への回答(Answering the Questions of Rhetorical Analysis)

 

l  含意

多くの批判は自分自身から生まれたものである

教授の研究を推進することでファキュリティの従業員たちを支援することが重要であるが、ボイヤーの支持者や他の学者たちは優位的な教授観を支持している。

学術的なものは、すでに良いものを対象としている。

年代の変遷に伴い、ボイヤーも自分が作った学識概念を再考すべきである。

 

l  提案

推進と保守的のように、どのように教授、研究、サービス(或いは一点)、発見、応用、統合、及び機関・市民の責任を統合する為に、より多くの作業が必要である。

教授の学識を定義し・推進するために、発展しているモデルと方法の概観が必要である。さらに、何が教授であるのかを明らかにすべきである。

 

 

 

 

 

 

 

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究10 原担当文献

今回読んだ文献は、以下の2点。

  • Roger Boshier (2009), “Whe Scholarship of Teaching and Learning Such a Hard Sell?,” Higher Education Research & Development 28 no. 1: 1-15.
  • M.P. Atkinson (2001), “The Scholarship of Teaching and Learning: Reconceptualizing Scholarship and Transforming the Academy,” Social Forces 79 no. 4: 1217-30.

Boshier論文はPost-Boyerの大学教授論のうち、特にSoTLのその後の展開を追ったReview論文である。Boshierの認識ではSoTLは「売り込みがうまくいかない(hard sell)」な状況にあり、なぜこのような状況が生じたかについて、以下の5つの要因を挙げている(Boshier, 2009, 2)。

  • First, scholarship of teaching is used as a synonym for other activities.
  • Second, Boyer’s (1990) difinition was conceptually confused.
  • Third, it is difficult to operationalize.
  • Fourth, much discourse concerning SoTL is anti-intellectual.
  • Fifth, there is an over-reliance on peer review.

特に着目したい点は、2点目の「Boyer(1990)の定義における概念的混乱」である。これについてはAtkinson (2001)においても論じられているものであるが、teachingという文脈にはdiscovery, integration, applicationが含まれるというものであり、従って他の3つのscholarshipとscholarship of teachingを並置して定義するのは理論的におかしいというものである。

こうした先行研究における議論を踏まえて、今後の本研究会の論点として以下の点を提示したい。

  • Boyerの提示する4つのScholarshipは、要素として独立しうるものなのか、1つの”scholarship”というものを4つの側面から見たものなのか。
  • 前者なのだとしたら、BoshierやAtkinsonの批判に対しどのように考えることができるか。
  • 後者であった場合、このScholarship of teachingから派生したSoTLを提唱した人物は、この点についてどのように考えているのか。またBoyerはScholarship of teachingを「研究者の養成」に限定していたものと考えられる文面が見られるが(Boyer, 1990)、SoTLないしはBoyerの4つの学識は研究大学以外の大学・カレッジにも適応可能なのか。Post-Boyerの論者はこうした点を議論しているのか。

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究9 原担当文献

ひとまずBoshierのものを読みましたが,これを読んだうえで現在以下の文献を読もうと考えています。要約等は追って掲載いたします。

Atkinson, M.P. “The Scholarship of Teaching and Learning.” Social Forces 79 no. 4 (2001): 1217-30.

Fincher, R.M.E. & Work J.R. “Perspectives on the Scholarship of Teaching.” Academic Medicene 40 (2006): 293-95.

Schroeder, C.M. “Countering SoTL Marginalization.” International Journal for the Scholarship of Teaching and Learning 1 no.1 (2007): 1-9.

 

 

 

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究8 間篠担当文献

Rice, R. Eugene. 2005. “Scholarship reconsidered”: History and context. In Faculty priorities reconsidered : Rewarding multiple forms of scholarship., eds. KerryAnn O’Meara, R. Eugene Rice, 17-31. San Francisco: Jossey-Bass.

 

【内容】

この章では、第二次世界大戦後のアメリカ高等教育の文脈を踏まえて、Scholarship Reconsideredが広い影響力を得たことを論じている。

1960、70年代の高等教育拡大のなか、「発見の学識」が重視されてきたが、「発見の学識」傾倒には疑義も提出されていた。ファカルティの学者としての仕事を再考するということについて、1980~1990年代には、機は熟していた。高等教育を変革しようとする運動は他にもあったが、scholarshipの意味を再定義し、学者個人としての使命と大学の使命との関係についての問いを投げかけたことがScholarship Reconsideredに特徴的である。また、Boyerの提唱した考えが消えないように、AAHEがイニシアチブをとって活動したことも、Scholarship Reconsideredの議論が盛んになった原因の一つであった。

Boyerの提出した4つの学識は、現在では、Scholarship of teaching and learning, engagement, integration and discoveryという4つの学識として議論されている。特に発展したのは以下の二つである。

Scholarship of teachingは、学者の仕事の双方向性・相互関係性を視野に入れるため、scholarship of teaching and learningとして議論されるようになった。その議論の発展には、Boyerの後をついでカーネギー教育振興財団の会長となったLee Shulmanの影響が大きい。彼が中心となってカーネギー財団とAAHEとが協力してCASTLを設立した。

Scholarship of applicationという考え方が提出された際には、知識は大学やカレッジで産出され、外界で応用されると考えられていた。しかし、広い社会(コミュニティ)との協働を重視することから、現在ではscholarship of engagementとして議論されている。

これら4つの学識それぞれについては、次章にて詳しく検討される。

 

【文献】

・この本のPart1全体

今回読んだのは第一章のみなのですが、4つのscholarshipそれぞれについての議論や、scholarshipに関する変化を阻害する要素などが、Part1の残りの章に含まれています。4つのscholarshipどれか一つだけに絞って議論するのではなく、Boyer後の議論をまとめるという意味で、重要な文献だろうと思います。大学には所蔵がありませんが、間篠が個人的に所有しています。

 

・Rice, R. Eugene. 1986. The academic profession in transition: Toward a new social fiction. Teaching Sociology 14 (1): 12-23.

今回検討した本のForwardで、Russel Edgertonが、scholarshipという言葉はもともとEugine Riceが発展させたものだと言及していました。そのことについて参考文献は上がっていなかったのですが、おそらくこれがそうだろうと思います。JSTORにPDFがあるようなのですが、なぜか見ることができません。9月末までにもう一度確認しておきます。国内の大学にいくつか所蔵はあるので、web上で見ることができなかった場合でも取寄せてみることが可能です。

 

http://teachingphilosophyworkgroup.bgsu.wikispaces.net/file/view/BoyerScholarshipReconsidered.pdf

Scholarship Reconsideredのpdfファイルを見つけましたので、urlを貼っておきます。

 

 

以上

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究7 間篠担当文献

Hutchings, Pat, Mary Taylor Huber, and Anthony Ciccone. 2011. The scholarship of teaching and learning reconsidered : Institutional integration and impact. The jossey-bass higher and adult education series. San Francisco: Jossey-Bass.

 

Chapter 1.  Why the Scholar ship of Teachng and Learning Matters Today

 

 

【要約】

この章では、SoTLの試みをlearningへの転換という文脈に置き、なぜSoTLが問題になるのか、そしてSoTLに関してどのような議論や実践が行われてきたのかを論じている。

learningへの転換とは、Barr and TaggのFrom Teaching to Learning(1995)をきっかけとして生じたものである。BarrとTaggは、教えるという手段を目的のようにとらえるのをやめ、学生の学びを目的としなければならないという議論を行い、多くの人々がこれに賛同した。Boyerの提起した4つの学識のうち、ティーチングの学識は、この文脈のなかで、“scholarship of teaching and learning”(SoTL)へと変化した。筆者はこのSoTLを、学生の学びと成功を達成するのに不可欠な原理として考えている。

SoTLの試みは、learningを批判的に検討しようとするプログラムを形成してきた。特に進展があったのは、①Teachers and learning、②Faculty Developnemt、③Assessment、④Valuing and Evaluating Teaching、という4つの領域である(これらの領域については、2~5章で詳しく検討する)。SoTLの影響力を明確に理解し評価することは困難だが、実践家自身による文献が増加していることにSoTLの影響力を見ることができる。

 

 

【文献リスト】

・Kuh, George D., and Carol Geary Schneider. 2008. High-impact educational practices : What they are, who has access to them, and why they matter. Washington, D.C.: Association of American Colleges and Universities.

高等教育におけるleaningが注目された1990年以降の20年間に成し遂げられたこと(成し遂げられなかったこと)の最良の概観として、Hatchingsらが紹介しています。Boyer後の議論、特にteachingとlearningについて見ていくのであれば、基本文献になるだろうと思います。ただ、塾内、早稲田に所蔵はありません。近場で国立教育政策研究所に所蔵があります。

 

・Ewell, Peter T. Assessment, accountability, and improvement: Revisiting the tension. NILOA occasional paper no. 1. in National Institute for Learning Outcomes Assessment. Urbana, Ill., 2009. Available from http://www.teaglefoundation.org/learning/resources.aspx.

———. 2005. Can assessment serve accountability: It depends on the question. In Achieving accountability in higher education : Balancing public, academic, and market demands., ed. Joseph C. Burke. San Francisco: Jossey-Bass.

春学期に読んだBrintの中にもEwellが引用されていましたが、HutchingsらもEwellの著作を引用しています。近年のアメリカ高等教育におけるのAssessmentの問題を見る上では、重要な文献のようです。ここでは二つ挙げておきます。なお、2005の方は塾内、早稲田に所蔵がありません。近場だと学芸大にあるようです。

 

・Cox, Rebecca, Mary T. Huber, and Pat Hutchings. 2005. Appendix: Survey of CASTL scholars. In The advancement of learning : Building the teaching commons., eds. Mary Taylor Huber, Pat Hutchings, 133-149. San Francisco: Jossey-Bass.

CASTL(Carnegie Academy for the Scholarship of Teaching and Learning)の調査報告です。個々のファカルティメンバーがティーチングをどのように改善したか、彼らがSoTLにとりくむにあたって何が影響していたか、彼らがどのような取り組みに参加しているか、そのなかでの支援や制限にどのようなものがあったか、その取り組みが将来成功するかどうかの感覚、等について調査しているようです。SoTLに関する具体的な活動について見ていくのであれば、必要な文献になろうと思います。ただ、これも塾内、早稲田に所蔵はありません。東大教育学部にあるようです。

 

Barr, Robert B., and John Tagg. 1995. From teaching to learning: A new paradigm for undergraduate education. Change 27 (6): 12-25.

“from teaching to learning”の流れを作った論文であり、Change誌のなかでも引用回数の多い論文のようです。学生のlearningに注目しなければならないというBarrとTaggの主張は教室の実践の変革を要求するとともに、アウトカムを重視しなければならないという議論にもつながっていきます。SoTL、特にassessmentとの関連での議論を見るとなれば、基本文献になるだろうと思います。

 

・その他、SoTLの具体的な試みを見るうえで必要であろう文献をいくつかあげます。いずれもCASTLとの関連で行われた取り組み(の調査や報告)のようです。

Bernstein, Daniel, Amy Nelson Burnett, and Amy:Savory Goodburn Paul. 2006. Making teaching and learning visible : Course portfolios and the peer review of teaching. San Francisco: Jossey-Bass/Anker.

Bass, Randy, and Bret Eynon (eds ). 2009. The difference that inquiry makes: A collaborative case study of technology and learning, from the visible knowledge project. Academic Commons(Jan), http://academiccommons.org/issue/january-2009.

Díaz, Arlene, Joan Middendorf, David Pace, and Leah Shopkow. 2008. The history learning project: A department “Decodes” its students. The Journal of American History 94 (4): 1211-24.

 

 

【次に読む文献】

当初の予定ではこの本の2章を読む予定でしたが、各論に入っていきそうなので、本を変更します。間篠は次に下記文献を読みます。scholarshipを再定義しようとする運動の歴史と、Scholarship Reconsideredの発展の文脈を論じた文献です。よろしくお願いします。

Rice, R. Eugene. 2005. “Scholarship reconsidered”: History and context. In Faculty priorities reconsidered : Rewarding multiple forms of scholarship., eds. KerryAnn O’Meara, R. Eugene Rice, 17-31. San Francisco: Jossey-Bass.

 

以上