【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究13 9/1議事録(原)

1.議論内容

  • Boyerの4 Scholarshipのうち,Scholarship of Teaching (SoT)がScholarship of Teaching and Learning (SoTL),Scholarship of Application (SoA)がScholarship of Engagement (SoE)としてその後議論が進んでいる
  • Boshier (2009)及びSandmann (2008)はこの2つのScholarshipの議論のReviewとして共有する価値がある
  • SoEについては,Boyer (1996)がおそらく初出であり,これについて確認が必要。Boyer自身がSoEを提唱していたことに着目
  • SoTLの初出が不明確のため要確認
  • Boyerの言うScholarshipを「学識」と訳すのは妥当か?
  • Boyerの言う4 Scholarshipは4つの別個の要素と捉えるべきか,1つのScholarshipの4つの側面と捉えるべきか。

2.今後の調査内容

  • SoTからSoTLへと変化していった際の議論の確認
  • SoAからSoEへと変化していった際の議論の確認
  • Boyerの言う4 Scholarshipは4つの別個の要素と捉えるべきか,1つのScholarshipの4つの側面と捉えるべきか。Boyer自身がどう考えていたか,およびPost-Boyerの論者がどう捉えていたかを確認。またこの4つをどのような関係性で捉えていたかも確認。
  • 一般に言われている大学の3つの役割(Research, Teaching, Outreach)と4 Scholarshipはどのような関係にあるのか
  • (Scholarchipの語源とBoyer及びPost-Boyerの用法)

3.課題文献(秋学期初回授業時まで)

4.次回の予定

  • 秋学期初回授業では,予定通りBoyerを読み,各自の観点から批判・検討を行う
  • 2限後山食にて,上記課題の検討を行う

誤記・補足等あればコメントにてお知らせください。

GaoyanZhai

Hutchings, P. の著作によると、SOTLの歴史は、Boyerの90年の著作に始まる。伝統的な研究vs教育の論争を超えてscholoarshipという概念を打ち出し、優れた教育も研究と同様の意識・手法で行うことを提唱した。
その後94-98年にShulmanらを中心にして、教育のピアレビューという概念をSOTLに持ち込んだ。教育は単なる技術ではなく専門領域や関連領域の内容とその意味の深い理解を示す行為である。学者のコミュニティでは文書化し、公開し、総合に評価するのが基本であり、教育においても同様の活動が行われるべきと提唱した。彼らは教育の成果を他の教員が利用できるための9つの方針を開発して示した。
さらに97年にGlassick, Huber, MaeroffによってScholarshipを評価する6つの基準(明確な目標、十分な準備、適切な手法、有為な結果、効果的な提示、回顧的な批判)が示される。
こうした流れを経る中で、現在のSOTLの中心的な概念である、教育を研究的に振り返り、論文化などを通じてピアレビューを行い、質を高めていく活動へとつながっていく。