【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究15 10/12議事録(間篠)

<Boyerの評価について>
・学者個人の使命と大学の使命とを関連させたことにBoyerの特徴があるのではないか
・Donald Schönの主張はBoyerの批判にはならないのではないか
・Before Boyerたちが行ってきたことを整理して、Boyerは自分の主張を展開している
・知識の扱い方という観点でscholarshipを再整理したのがBoyerの特徴ではないか
・1995年の講演(The Scholarship of Engagement)では、市民の視点や社会との関りという視点からscholarshipをとらえ直しているのではないか
・現状を分析し、そこから主張を組み立てているというBoyerの議論のしかたに注意して読んでいく必要がある

<scholarがscholarであることを保証するものとは何か、scholarとは何か>
・職員やadministratorとの違いを考えることでscholarの輪郭を浮き彫りにできないか
・伝統的なキャリアパスを通っていない大学教授職をどのように位置づけるか
・大学教授ではあるが学者ではないという状態はありうるか

<scholarshipについて>
・scholarship of engagementは、scholarship of applicationの発展形としてとらえてよいか(4つのscholarshipを包含したものとして考えられるのではないか)
・Scholarship Reconsideredでは、ティーチングだけが存立基盤が弱い。だからこそ、1995年でscholarship of sharing knowledgeとなっているのではないか。

<間篠の宿題>
・scholarship of discoveryとは何か

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究14 10/5議事録(間篠)

議事録
●Boyerの評価に関する意見
・Boyer自身は何も新しいことを論じていない。
・Boyerは1980年代までにあらわれていたScholarshipの捉え方の変化をまとめあげた。
・時代背景がBoyerのScholarship理解を欲していたため、Boyerの議論は受け入れられた。
・Boyerが4つのScholarshipを体系的に論じておらず、検討し直す余地が残されていたため、Post-Boyerの議論が盛んになった。
・それでも、Scholarshipが時代によって変化する可能性があることを示したのは意味があった。
・大学教員の仕事の拡大を正当化するためにBoyerの議論が出てきたという考え方もできる。

●次に取り組むこと
・時代背景に照らし合わせてBoyer(1990)を検討し直す。
・当時のBoyerの関心、カーネギーの関心について検討する。
※その際、上記のBoyer評価を念頭に置く。

●次回以降の予定
・10/12 先行研究におけるBoyer評価のまとめ:間篠
・10/19 当時のBoyerの関心について(講演記録、論文等から):Zhai
・10/26 1980年代高等教育をめぐる時代背景について:塔
・11/ 2 当時のカーネギーの関心について:原
・上記4回の発表の間に、11/9以降読む文献を設定する。

 

以上

【学部ゼミ】2012秋学期日程

<1限>

09/26 オリエンテーション&担当決め
10/03 Craft of Research Ch.15:川島、岡田、功刀、国広、宮下、平林、宮本
10/10 Ch.16:清水、倉金、松田、園田、宮本、山口
10/17 Ch.17:小島、原田、田中、柳田、茅野、内田、水無
10/24 まとめ(Chs.12-17):各班代表
10/31 Global Issues and Comparative Education Ch.1:岡田、金子、清水、望月
11/07 Ch.2:平本、鈴木、内田、水谷、青野
11/14 Ch.3:夏、斎藤、金子、坂本、富塚、梶浦、柳田
11/28 Ch.4:井上、田中、斎藤、梶浦、平林、水谷
12/05 Ch.5:望月、国広、園田、加藤、水無、富塚
12/12 Ch.6:倉金、原田、平本、坂本、青野
12/19 GP3: 「リーダーシップ(教育)」
12/26 Ch.7:夏、小島、松田、茅野、山口
01/09 Ch.8:川島、井上、功刀、加藤、宮下

10/31〜新テキスト:Wendy Bignold and Liz Gayton ed., Global Issues and Comparative Educaiton. Perspecties in Education Studies, (Exeter: Learning Matters Lttd, 2009).

<2限>

As of 09/26/2012
(赤字は変更部分)

09/26 オリエンテーション
10/03 【卒論草稿検討】坂本、内田、梶浦、柳田
10/10 【卒論草稿検討】加藤、青野、富塚、平林
10/17 【卒論草稿検討】水谷、水無、宮下、宮本
10/24 【卒論草稿検討】茅野、山口、【卒論構想検討】井上、岡田
10/31 【卒論構想検討】夏、金子、川島、国広
11/07 【卒論構想検討】功刀、倉金、小島、齋藤
11/14 【卒論構想検討】清水、鈴木、園田、田中
11/28 【卒論構想検討】原田、平本、松田、望月
12/05 GP1:「秋入学」
12/12 GP2:「グローバル人材×国際バカロレアプログラム」
12/19 GP4:「各国の幼稚園」
12/26 GP5:「学校教育の未来~受験を制すのは学校か~」
01/09 1限英語まとめ:

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究13 9/1議事録(原)

1.議論内容

  • Boyerの4 Scholarshipのうち,Scholarship of Teaching (SoT)がScholarship of Teaching and Learning (SoTL),Scholarship of Application (SoA)がScholarship of Engagement (SoE)としてその後議論が進んでいる
  • Boshier (2009)及びSandmann (2008)はこの2つのScholarshipの議論のReviewとして共有する価値がある
  • SoEについては,Boyer (1996)がおそらく初出であり,これについて確認が必要。Boyer自身がSoEを提唱していたことに着目
  • SoTLの初出が不明確のため要確認
  • Boyerの言うScholarshipを「学識」と訳すのは妥当か?
  • Boyerの言う4 Scholarshipは4つの別個の要素と捉えるべきか,1つのScholarshipの4つの側面と捉えるべきか。

2.今後の調査内容

  • SoTからSoTLへと変化していった際の議論の確認
  • SoAからSoEへと変化していった際の議論の確認
  • Boyerの言う4 Scholarshipは4つの別個の要素と捉えるべきか,1つのScholarshipの4つの側面と捉えるべきか。Boyer自身がどう考えていたか,およびPost-Boyerの論者がどう捉えていたかを確認。またこの4つをどのような関係性で捉えていたかも確認。
  • 一般に言われている大学の3つの役割(Research, Teaching, Outreach)と4 Scholarshipはどのような関係にあるのか
  • (Scholarchipの語源とBoyer及びPost-Boyerの用法)

3.課題文献(秋学期初回授業時まで)

4.次回の予定

  • 秋学期初回授業では,予定通りBoyerを読み,各自の観点から批判・検討を行う
  • 2限後山食にて,上記課題の検討を行う

誤記・補足等あればコメントにてお知らせください。

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究12 トウナ担当文献

Conceptualization of the Scholarship of Engagement in Higher Education:
A Strategic Review, 1996–2006

Lorilee R. Sandmann

Journal of Higher Education Outreach and Engagement, Volume 12, Number 1, p.91(2008)

【要約】
1996年―2006年の10年間に、一般的な「Scholarship of engagement」の概念が、発展してきた。多くの分野で高等教育がコミュ二ティに対してより敏感になろうという声が高まったのである。この文章では、「Scholarship of engagement」という用語の発展が述べられた。また、「Scholarship of engagement」が使われる際には、「definitional anarchy」という問題が現われるということが明らかになった。これはその十年間に概念の進化の過程であると結論づけられた。さらに、実証的な研究や政策分析は叙述的な研究より重要であると論じられた。最後に、今後必要となるのは「engaged scholarship」の理論の発展であると提案された。

【追加文献】

Advising Graduate Students Doing Community-Engaged Dissertation Research: The Advisor-Advisee Relationship

Audrey J. Jaeger, Lorilee R. Sandmann, and Jihyun Kim

Journal of Higher Education Outreach and Engagement, Volume 15, Number 4, p. 5, (2011)

http://www.eric.ed.gov.kras7.lib.keio.ac.jp:2048/PDFS/EJ957105.pdf

 

 

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究11  Zhai 担当

Bowden, Randall G. 2007. “Scholarship Reconsidered: Reconsidered.” Journal of the Scholarship of Teaching and Learning, 7(2): 1-21.

『学識再考』に関する再考(Scholarship Reconsidered: Reconsidered

Randall G. Bowden

要約:Gaoyan Zhai

1990年にボイヤーはファキュリティの役割を四つの学識に分類した。この四つの学識(scholarship)は発見(discovery)、統合(integration)、応用(application)、教育(teaching)である。本論はこの教育の構成を七つの研究アプローチを基に調べた。これらのアプローチは、意図(purpose)、背景、前提(premise),概観、分析と結論、含意(implications)、提案(recommendation)である。意図は教授の学識(scholarship of teaching)の背景を形成した。この背景は、学者たちが優位なこととして、教授から研究基盤としての「教授の学識」を分離すべきこと、を簡単に概略した。前提は、「教授の学識」を「教授の行為」として正確に問題解決するとみなす事である。概観部分で、現在主要な「教授の学識」に関するモデルと発展が検討された。分析は学識の概観における有益な結果として認められている。学識の概観と同じように、分析によって深い意味合いが生じた。この論文は、ボイヤーの教育、研究とサービスから四つの学識理解に新しい解釈を加えた。結論の提案で教育の行為における卓越性のモデル構築に必要な次の課題をさらに提唱した。

 

l  背景

1.より専門的・上位的な方向:Carnegie Academy for the Scholarship of Teaching and Learning(CASTL) の設立

1) PEW National Fellowship Program for Carnegie Scholars

2) Lilly Foundation(ファキュリティ・ラーニング・コミュニティ

 

2.訓練(disciplines)と習慣から教授の学識の向上を図る。学者的な教授(scholarly teaching)理解から「教授の学識」を分離する。

 

l  前提

現在、教授の優位性を推進する傾向があるが、「教授の学識」は研究機能として見られている。ボイヤーは「教授の学識」が研究と同じ地位で平等的に評価されるべきであると強調したが、大部分の学者は「教授の学識」を実践の対面的な研究だと誤認している。

 

l  概観

「教授の学識」がカナダ、英国、オーストラリアとアメリカ合衆国の世界範囲に広まった。Shulmanは1999年に、「教授の学識」の研究アプローチの傾向を整理した。彼は3つの領域での分界線が必要だと述べた。1.批判的・評価的な教授過程。2.利用できるコミュニティの基盤、3.前述したものを利用し、人々が独自に研究する事が出来、且ついくつかの教授モデルもある。

1.    教授の学識モデル(Scholarship of Teaching Model, SofT)

これは、ファキュリティが内容(問題の叙述)・過程(問題解決の方法)・前提(問題の基礎)の反映から、知識を取得し、変形学習(transformative learning)理論により、理論的に構築されたものである。

2.Trigwell,  Mratin,  Benjiamin, とProsserモデル

3.訓練モデル(Disciplines Model)の分析

4.教授の学識調査(Scholarship of Teaching Inventory)

5.教授><学習連合TMモデル

6.再考

 

l  分析と結論

ボイヤーの著作を対象に、以下の二つの方法で分析した。

語彙統計(Lexical Statistics):単語分析による統計

修辞学分析(Rhetorical Analysis)

修辞学分析における問題への回答(Answering the Questions of Rhetorical Analysis)

 

l  含意

多くの批判は自分自身から生まれたものである

教授の研究を推進することでファキュリティの従業員たちを支援することが重要であるが、ボイヤーの支持者や他の学者たちは優位的な教授観を支持している。

学術的なものは、すでに良いものを対象としている。

年代の変遷に伴い、ボイヤーも自分が作った学識概念を再考すべきである。

 

l  提案

推進と保守的のように、どのように教授、研究、サービス(或いは一点)、発見、応用、統合、及び機関・市民の責任を統合する為に、より多くの作業が必要である。

教授の学識を定義し・推進するために、発展しているモデルと方法の概観が必要である。さらに、何が教授であるのかを明らかにすべきである。

 

 

 

 

 

 

 

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究10 原担当文献

今回読んだ文献は、以下の2点。

  • Roger Boshier (2009), “Whe Scholarship of Teaching and Learning Such a Hard Sell?,” Higher Education Research & Development 28 no. 1: 1-15.
  • M.P. Atkinson (2001), “The Scholarship of Teaching and Learning: Reconceptualizing Scholarship and Transforming the Academy,” Social Forces 79 no. 4: 1217-30.

Boshier論文はPost-Boyerの大学教授論のうち、特にSoTLのその後の展開を追ったReview論文である。Boshierの認識ではSoTLは「売り込みがうまくいかない(hard sell)」な状況にあり、なぜこのような状況が生じたかについて、以下の5つの要因を挙げている(Boshier, 2009, 2)。

  • First, scholarship of teaching is used as a synonym for other activities.
  • Second, Boyer’s (1990) difinition was conceptually confused.
  • Third, it is difficult to operationalize.
  • Fourth, much discourse concerning SoTL is anti-intellectual.
  • Fifth, there is an over-reliance on peer review.

特に着目したい点は、2点目の「Boyer(1990)の定義における概念的混乱」である。これについてはAtkinson (2001)においても論じられているものであるが、teachingという文脈にはdiscovery, integration, applicationが含まれるというものであり、従って他の3つのscholarshipとscholarship of teachingを並置して定義するのは理論的におかしいというものである。

こうした先行研究における議論を踏まえて、今後の本研究会の論点として以下の点を提示したい。

  • Boyerの提示する4つのScholarshipは、要素として独立しうるものなのか、1つの”scholarship”というものを4つの側面から見たものなのか。
  • 前者なのだとしたら、BoshierやAtkinsonの批判に対しどのように考えることができるか。
  • 後者であった場合、このScholarship of teachingから派生したSoTLを提唱した人物は、この点についてどのように考えているのか。またBoyerはScholarship of teachingを「研究者の養成」に限定していたものと考えられる文面が見られるが(Boyer, 1990)、SoTLないしはBoyerの4つの学識は研究大学以外の大学・カレッジにも適応可能なのか。Post-Boyerの論者はこうした点を議論しているのか。

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究9 原担当文献

ひとまずBoshierのものを読みましたが,これを読んだうえで現在以下の文献を読もうと考えています。要約等は追って掲載いたします。

Atkinson, M.P. “The Scholarship of Teaching and Learning.” Social Forces 79 no. 4 (2001): 1217-30.

Fincher, R.M.E. & Work J.R. “Perspectives on the Scholarship of Teaching.” Academic Medicene 40 (2006): 293-95.

Schroeder, C.M. “Countering SoTL Marginalization.” International Journal for the Scholarship of Teaching and Learning 1 no.1 (2007): 1-9.