1.『ビジネスパーソンのための教養大全』を読んでの論点
□「立場と年代によって変わる教養ニーズ」という考え方
・本当に「今」知るべきものか?結局古い教養観なのでは?
→年代別の教養観が提示されているが、以降の議論のベースは「経営者」≒50代
・こうした教養観がどのように成立したのか?
・教養を得る目的は?
→本書では「ビジネスに使える知識」に収斂?
□教養として挙げられている項目について
・分類方法が系統だっていない
・「教養が足りない」と感じる人の「教養」観からスタートして良いのか?
・他国や別の時代ではどうか?ジェンダー的な視点が入るとどうなるか?
□本書における「教養」観
・「教養」≒知識?
⇔大正教養主義における人生観のための教養のあり方
→戦後の大学における「教養科目」(=一般教育科目)とは別物
・「教養」の獲得≒本を読む
→ある種伝統的な教養観
2.今後の展開案
□この『教養大全』が書かれるに至った背景・文脈を探る
・竹内洋『教養主義の没落』を読み、この議論の延長線上に『教養大全』を置く
→「教養」から「キョウヨウ」へ、という議論
・吉田文『大学と教養教育』:大学カリキュラムの根無し草状態、知の断片化
→これに対する反感として、『教養大全』があるのでは?
□「教養≒知識」という考え方に対する反論
・大正教養主義的な、人生観を含む教養のあり方を再考すべき
→大正教養主義における、「読者」は誰か?
→主に旧制高校・帝大学生?
□ビジネス界での教養と、学校教育での「教養」の差異の検討
・中教審2002「新しい時代における教養教育の在り方について(答申)」と、『教養大全』の比較
3.今後の課題
□次週(5/9):中教審「新しい時代における教養教育の在り方について(答申)」(2002)を講読(折田さん発表)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/020203.htm
・『教養大全』との教養観の比較
・これと照らして、各自の「教養」に対する考え方をまとめる
・可能であれば、竹内洋『教養主義の没落』をどのように読むかも考えておく
□次々週(5/16):竹内洋『教養主義の没落』(中央公論新社, 2003)を講読
・各自入手し、5/16までに読んでおくこと