・慶應義塾大学文学部社会学研究科卒(松浦ゼミ7期) ・同大学院社会学研究科教育学専攻修士課程修了 ・同博士課程在学中

・慶應義塾大学文学部社会学研究科卒(松浦ゼミ7期) ・同大学院社会学研究科教育学専攻修士課程修了 ・同博士課程在学中

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究23-2(1/18)議事録(原)

<4章概要>

・SoTLおよびSoEが州立大学を中心に展開してきた理由を、トロウ・モデルを援用して検討した結果、こうした議論はマス・ユニバーサル段階を担う州立大学にこそ必要な議論であっことがわかった。

・こうした議論に対応して、スカラーシップの用法も知識に関係するところから大学と関わる者すべてが持つべき態度・関心といったものまでを規定するようなもとなってきたため、この訳語を「学識」ではなく「大学人性」とすることを提唱した。

 

<改善点>

・SoTL/SoEの展開の中で、従来のDiscovery/Integrationを中心としたスカラーシップがどのように変容したかをより丁寧に検討するべき

全体の議論・今後の予定については1つ前の間篠さんの投稿を参照してください。

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究13 9/1議事録(原)

1.議論内容

  • Boyerの4 Scholarshipのうち,Scholarship of Teaching (SoT)がScholarship of Teaching and Learning (SoTL),Scholarship of Application (SoA)がScholarship of Engagement (SoE)としてその後議論が進んでいる
  • Boshier (2009)及びSandmann (2008)はこの2つのScholarshipの議論のReviewとして共有する価値がある
  • SoEについては,Boyer (1996)がおそらく初出であり,これについて確認が必要。Boyer自身がSoEを提唱していたことに着目
  • SoTLの初出が不明確のため要確認
  • Boyerの言うScholarshipを「学識」と訳すのは妥当か?
  • Boyerの言う4 Scholarshipは4つの別個の要素と捉えるべきか,1つのScholarshipの4つの側面と捉えるべきか。

2.今後の調査内容

  • SoTからSoTLへと変化していった際の議論の確認
  • SoAからSoEへと変化していった際の議論の確認
  • Boyerの言う4 Scholarshipは4つの別個の要素と捉えるべきか,1つのScholarshipの4つの側面と捉えるべきか。Boyer自身がどう考えていたか,およびPost-Boyerの論者がどう捉えていたかを確認。またこの4つをどのような関係性で捉えていたかも確認。
  • 一般に言われている大学の3つの役割(Research, Teaching, Outreach)と4 Scholarshipはどのような関係にあるのか
  • (Scholarchipの語源とBoyer及びPost-Boyerの用法)

3.課題文献(秋学期初回授業時まで)

4.次回の予定

  • 秋学期初回授業では,予定通りBoyerを読み,各自の観点から批判・検討を行う
  • 2限後山食にて,上記課題の検討を行う

誤記・補足等あればコメントにてお知らせください。

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究10 原担当文献

今回読んだ文献は、以下の2点。

  • Roger Boshier (2009), “Whe Scholarship of Teaching and Learning Such a Hard Sell?,” Higher Education Research & Development 28 no. 1: 1-15.
  • M.P. Atkinson (2001), “The Scholarship of Teaching and Learning: Reconceptualizing Scholarship and Transforming the Academy,” Social Forces 79 no. 4: 1217-30.

Boshier論文はPost-Boyerの大学教授論のうち、特にSoTLのその後の展開を追ったReview論文である。Boshierの認識ではSoTLは「売り込みがうまくいかない(hard sell)」な状況にあり、なぜこのような状況が生じたかについて、以下の5つの要因を挙げている(Boshier, 2009, 2)。

  • First, scholarship of teaching is used as a synonym for other activities.
  • Second, Boyer’s (1990) difinition was conceptually confused.
  • Third, it is difficult to operationalize.
  • Fourth, much discourse concerning SoTL is anti-intellectual.
  • Fifth, there is an over-reliance on peer review.

特に着目したい点は、2点目の「Boyer(1990)の定義における概念的混乱」である。これについてはAtkinson (2001)においても論じられているものであるが、teachingという文脈にはdiscovery, integration, applicationが含まれるというものであり、従って他の3つのscholarshipとscholarship of teachingを並置して定義するのは理論的におかしいというものである。

こうした先行研究における議論を踏まえて、今後の本研究会の論点として以下の点を提示したい。

  • Boyerの提示する4つのScholarshipは、要素として独立しうるものなのか、1つの”scholarship”というものを4つの側面から見たものなのか。
  • 前者なのだとしたら、BoshierやAtkinsonの批判に対しどのように考えることができるか。
  • 後者であった場合、このScholarship of teachingから派生したSoTLを提唱した人物は、この点についてどのように考えているのか。またBoyerはScholarship of teachingを「研究者の養成」に限定していたものと考えられる文面が見られるが(Boyer, 1990)、SoTLないしはBoyerの4つの学識は研究大学以外の大学・カレッジにも適応可能なのか。Post-Boyerの論者はこうした点を議論しているのか。

【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究9 原担当文献

ひとまずBoshierのものを読みましたが,これを読んだうえで現在以下の文献を読もうと考えています。要約等は追って掲載いたします。

Atkinson, M.P. “The Scholarship of Teaching and Learning.” Social Forces 79 no. 4 (2001): 1217-30.

Fincher, R.M.E. & Work J.R. “Perspectives on the Scholarship of Teaching.” Academic Medicene 40 (2006): 293-95.

Schroeder, C.M. “Countering SoTL Marginalization.” International Journal for the Scholarship of Teaching and Learning 1 no.1 (2007): 1-9.