【大学院ゼミ】ポスト・ボイヤーの大学教授職論研究20 1214議事録(トウ)

Conceptualization of the Scholarship of Engagement in Higher Education:
A Strategic Review, 1996–2006

Lorilee R. Sandmann

内容

運動の始まり(the Beginning of the Movement

「Scholarship of engagement」は今や高等教育におけるあまりに多様な活動について言及するので、この用語の使用の結果しばしば混乱が起こる。

「Scholarship of Engagement 」の進化(Evolution of the Scholarship of Engagement)

新興分野で行われる変換を理解する際に、他の分野から概念を借用すると、歴史的な変化に対する概念と組織モデルの整理に役に立つ。組織変革の「断続平衡説」(punctuated equilibrium theory of organizational transformation)は、そういうモデルの一つである。この理論は、生物の種は、急激に変化する期間とほとんど変化しない静止期間を持ち、徐々に進化するのでなく、区切りごとに突発的に進化していき、小集団が突発して変化することで形態的な大規模な変化が起きるとする進化生物学の理論の一つ。

生物学の背後にある存在論と認識論の前提はSOEの研究の根底にあるものとは著しく異なるが、断続平衡理論から派生した概念モデルは、Engagement概念の進化の中の主な変遷の要素を解明する探索的分析枠組みとして有用である。そこで、過去10年間をSOE研究における主要な四つの「断続」(punctuations)に分ける。

(punctuations)に分ける。

Punctuation 1: Engagementの定義( Engagement defined

SOE概念化の最初のPunctuationでは、SOEの基礎価値が定義され、キャンパス·コミュニティ·パートナーシップを通して双方向の相互主義の原則も組み込まれている。この双方向のディメンションは、engagementを「大学から社会へ」の単方向の outreachから区別させる。

Punctuation 2: 教育・研究としてのEngagement Engagement as teaching and research

engagementをサービス、公共サービス、または多くの形態のアウトリーチ(cooperative extensionなど)から分立(uncouple)する。SOEは、大学の最初の2つの伝統的なミッション―研究と教育に連結されている。

Punctuation 3: 学術的な表現としてのEngagement (Engagement as a scholarly expression)

SOEの進化:SOEから Scholarly Engagementへ

制度化の市民参与(institutional civic engagement)とSOE二つの理論と実践の軌跡(track)に沿って進化してきた。2001年までに、学識としてのengagement(engagement as scholarship)のユニークな特徴が現れ、SOEがエンゲージメントの一般的な傘概念から区別された。

より多くの作業は、SOEの2つの基礎原則を反映している:

(1)相互に有益なパートナーシップ (mutually beneficial, reciprocal partnerships)

(2)教育・研究・サービスの統合 (integration of teaching, research, and service)

多面的な実践があるが、engaged scholarship(scholarshipがいずれそう呼ばれるべきengagementとしての)はengagement movementという独特の次元で発展し、独特の学問的な表現と構造を導き出している。

Punctuation 4: Engagement制度化(Engagement institutionalized)

SOE制度化に関する代表的な論点は、「大学は新しい報酬と管理構造を開発することだけでしか、より多い社会的なengagementの要求に体系的に応えることができない。」(Bartel, Krasny, and Harrison 2003)

Scholarly engagementをコミュニティパートナーとともに実施するための専門職的発達のプログラムを通して大学教員の能力を高めようとする文献 ((O’Meara and Jaeger 2006)) と同様に、Engaged scholarshipを大学院教育に統合し未来の大学教員をengaged scholarsに育てようとする最近の文献には、制度化の別のアプローチが反映されている. (Abrams et al.2006)

振り返りから(From Retrospective)

たくさんの事例研究はあるが、それに対するメタ分析はほとんど行われていない。政治、倫理、社会正義についての対話は明白だが、これらの雑誌論文の大半は批判的な理論的視点を欠いている。

今後に向けて (To Prospective)

断続平衡理論が、非常に細分化した特質を持っている高等教育機関の複雑なダイナミクスに面白い視点を齎した。したがって、この理論は、SOEの概念化の次の可能な発展を示す可能性モデルを開発する可能性を提供している。

SOEは、だんだん多くの高等教育機関に向き合わずにいけない概念になるため、次の段階が活発な研究課題により駆り立てられ得る。その研究課題には、記述的な研究を乗り越え、メタ研究や政策分析のようなより重要な実証的な研究が必要である。さらに、今後5年間における研究課題には、間違いなく、国際的や専門分野的、学際的(trans disciplinary)な視点が現れる。

engagementの定義の様々な段階が高等教育に与える影響が記録されないといけない。さらに、他の分野(社会心理学、公共社会学、地域社会の発展など)から理論を借用することが、どれぐらいengaged scholarshipの理論発展を制限または拡大するかを考えるためには、より深い議論や対話が必要である。SOEは、まだ定義の無秩序(definitional anarchy)から浮上し、学際的な研究問題として進化していくだろう。

議論

1    「engagement」の概念は通用するか

2    「Balance」をどうのように理解するか

3    「概念の無秩序状況」(definitional anarchy)がなければ、学際的な研究が発展するのではないか

4    SOEとSoTLの共通点と違い?そのため、Accountabilityの問題を見るべき

5    学者(Scholar)という表現について:学術的専門家?実践的専門家?